住宅販売のイメージ

 

住宅ローンは大きく、公的機関が運営している公的ローンと、民間の金融機関等が提供している民間ローンの2つに分けられます。

公的ローンには、財形住宅融資や自治体融資があり、民間ローンには、銀行や信用金庫等のローン、フラット35、提携ローンなどがあります。これだけさまざまな住宅ローンがあると、どれを選べばよいのか分からないこともあるでしょう。

ここでは、自分や家族に合った住宅ローンを選ぶための情報として、金利の種類および住宅ローンの種類とそれぞれの特徴をご紹介します。

住宅ローンの金利は3種類

住宅ローンの種類を知る前に、まずは住宅ローンの金利について理解しておくことが大切です。住宅ローンの金利タイプは主に3つに分けられます。「全期間固定金利型」、「変動金利型」、「固定金利期間選択型」の3つです。どの金利タイプを選択するかで、金利に差が出ますので、最終的な総返済額も変わってきます。そのため、住宅ローンを選ぶとき、まずは金利タイプに注目する必要があるのです。また、金利タイプを知っておけば、それぞれの住宅ローンの中身を理解しやすくもなります。

 

全期間固定金利型

全期間固定金利型では、借入時から返済完了まで金利が変化しません。フラット35などは、全期間固定金利型の代表例です。この金利タイプは、最初から最後まで金利が変わらず一定なので、毎月の返済額はもちろん、総返済額まで借入時の段階で把握することができます。早い段階で返済額が確定するので、返済の計画も立てやすくなりますし、借入時の金利から上がることはないため、「いつ金利が上昇するか分からない」といった不安を抱かずに済みます。ただし、ほかのタイプと比較してみると、金利が高めに設定されています。金利の変動に左右されない点で安心できますが、ほかのタイプに比べてローンに適用される金利が高めになっていることは考慮しておきましょう。

 

変動金利型

変動金利型は、年に2回金利が見直され、5年ごとに返済額が見直されるシステムになっています。このタイプでは、金利変動によって、ローンに適用される金利も変動します。例えば、金利が下がり続けていれば、同じように適用金利も下がり続けます。つまり、金利が低いときは、それだけお得になるわけです。このような形で金利は年2回見直しされ、月々の返済額も5年ごとに見直されることになります。もし金利が大きく上昇しても5年間は一定の返済額ですので、いきなり家計を圧迫するようなことにはなりません。また、金利の上昇にともなって返済額が上がった場合でも、返済額の上昇は従前の返済額の1.25倍までと決められています。

しかも、変動金利型はもともと借入時の金利が低く設定されています。金利が低ければ、それだけ元金を早く返すことができますし、総返済額も低く抑えられます。しかし、変動金利型の場合、金利が低く推移していればよいですが、金利が急上昇したときには、同じように適用金利も急上昇することになります。上限が決められているとはいえ、金利の上昇にともなって月々の返済額も増加します。1.25倍の増加ですから、月々の返済額が10万円だった場合、12万5千円になるかもしれないわけです。このようにして金利が上がり過ぎると、「未払い利息」という問題に陥る可能性もあります。

未払い利息とは、金利の上昇によって、月々の返済額を上回り未払いになってしまう利息のことを言います。例えば月々10万円の返済額のうち、元金が5万円で、利息が5万円だったとします。金利が上昇し、月々10万円のうち、利息が7万円となった場合、元金は3万円となります。さらに金利が上昇し続けた場合、月々10万円のうち利息が10万円で元金が0円になる可能性もあります。もっと上昇すると、今度は月々の返済額を超えて利息が増えてしまうかもしれません。そうなると、毎月しっかり返済し続けていても、元金は減ることなく、払いきれていない利息を払い続けることになります。これが未払い利息です。

このように変動金利型は、低金利の状況であれば総返済額が減少しお得になります。しかし、金利の変動によるリスクは常にありますし、借入時には返済額が確定しないため、計画が立てづらく、金利上昇への不安は残り続けることになります。

 

固定金利期間選択型

固定金利期間選択型は、借入時から一定期間、金利が固定され、固定期間後に再び固定金利にするか変動金利にするか選択できるというものです。金利も返済額も一定期間固定されているので、当面の返済計画は立てやすくなっています。全期間固定金利型よりも金利は低く、その点でもメリットがあります。固定期間は、3年、5年、7年、10年などさまざまです。期間が短いほうが金利は低く、期間が長いほうが金利は高くなります。3年なら3年、5年なら5年で固定期間が終了した後に、利用者の申し出がなければ、それ以降は自動的に変動金利型になります。

注意していただきたいのは、固定期間後に引き続き固定金利を選択するときは、借入時の金利ではなく、その時点での金利が適用されることです。また、固定金利期間選択型では返済額の上限が決められていない点にも注意が必要です。つまり、固定期間終了時点で金利が上昇していた場合、上限なしで返済額も大幅に増える可能性があるので注意しましょう。

公的ローンの種類

ここからは住宅ローンの種類とそれぞれの特徴についてご紹介します。住宅購入は一世一代の大きな買い物。どの住宅ローンを選ぶのかによって、最終的に支払う金額も大きく変わってきます。そのため、公的ローン、民間ローンの中でどの住宅ローンが適しているか考えることは大切です。最近は住宅ローンの多くを民間ローンが占めていますが、公的ローンにも有用なものがあります。それでは、まず公的ローンの種類と特徴を見ていきましょう。

 

財形住宅融資

財形住宅融資とは、財形貯蓄を1年以上しており、貯蓄残高が50万円以上の方を対象にした住宅ローンです。まず財形貯蓄とは、将来のライフイベントに備えて、会社から毎月給与の一定額が天引きされ、財形貯蓄取扱金融機関に振り込まれる貯蓄制度のことです。この財形貯蓄を利用している方が融資の対象になります。融資の条件としては、ほかにも申込日前の2年以内に財形貯蓄に入金している必要があります。つまり、「財形貯蓄1年以上」+「申込日前2年以内の財形貯蓄への入金」+「財形貯蓄の貯蓄残高50万円以上」の3点が主な条件となります。これらの条件をクリアすると、財形住宅融資として財形貯蓄残高の10倍、最高で4,000万円まで融資を受けることができます。返済開始から5年ごとに金利が見直される「5年固定型」です。財形貯蓄を利用している方におすすめの住宅ローンになります。

 

自治体融資

自治体融資とは、都道府県や市区町村などの自治体が実施している住宅ローンです。その自治体に一定期間以上住んでいることや、一定金額以上の収入があることなど、自治体ごとに融資の要件は異なりますし、融資の内容自体も多種多様です。低い金利で住宅ローンを利用できる「低利融資制度」、住宅ローンの利息を一定期間補給する「利子補給制度」、一定の耐震性能を備えた住宅を購入する際にその費用を補助する「助成金制度」など、自治体融資にはさまざまなものがあります。ただし、こういった制度を設けていない自治体もありますので、融資をおこなっているかどうか事前に確認しておきましょう。

民間ローンの種類

民間ローンの特徴は、その種類の豊富さにあります。民間ローンはメニューが豊富に用意されているため、利用者それぞれの状況に合わせてローンを組むことができます。最近では、銀行や信用金庫等の金融機関はもちろんのこと、住宅ローン専門会社や保険会社、JAなどさまざまな会社や組織が住宅ローンを提供しています。その中でもここでは「銀行・信用金庫等のローン」、「フラット35」、「提携ローン」という代表的な住宅ローンをご紹介します。

 

銀行・信用金庫等のローン

銀行・信用金庫等では、金融機関ごとに幅広い種類の住宅ローンが用意されています。変動金利型や固定金利期間選択型、全期間固定金利型など、複数の金利タイプから選べることが多いです。金融機関ごとにキャンペーンや特典を用意していたり、万が一に備えたプランを提供していたり、独自のサービスを展開しています。例えば、収入が増加して家計が安定しているときは返済額を増やして、産休・育休や教育費の増加によって家計が苦しいときは返済額を減らすといった、状況によって返済額を増減できるサービスがあります。また、地震・台風・豪雨などの自然災害により住宅が全壊・大規模半壊・半壊した際に、一定期間の住宅ローンの返済を免除するプランもあります。各金融機関で実施されている特典やプランをよく見て、最適な住宅ローンを選びましょう。

 

フラット35

フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関との提携によって実現された住宅ローンです。借入時から返済まで金利が固定される全期間固定金利型をとっており、「長期固定金利型ローン」と呼ばれることもあります。公的ローンと民間ローンの中間に位置する住宅ローンです。フラット35では、上記のように金利が固定されているため、借入時に返済計画を立てることができます。設定される金利は金融機関によってさまざまで、融資については最高8,000万円まで受けることができます。通常は発生する保証料が0円という点もメリットの1つです。さらに、省エネルギー性や耐震性などを備えた質の高い住宅を購入する際は金利を一定期間引き下げる【フラット35】Sが適用されます。ただし、フラット35を利用するためには、物件検査を受けて住宅金融支援機構が定める技術基準をクリアする必要がありますので、その点は考慮しておきましょう。

 

提携ローン

提携ローンとは、不動産会社と民間金融機関が連携し、その不動産会社が取り扱う住宅の購入者へ融資する住宅ローンです。不動産会社を通してローンを組むことができるため、通常よりも借入までの手続きがスムーズです。物件の審査がすでに終了しているので、審査も早く進みます。金利面で大幅に優遇されることもありますから、住宅を見学した際にはその不動産会社に提携ローンが用意されているかどうか確認してみましょう。

以上が住宅ローンの主な種類になります。ここでは、住宅ローンにおける金利の種類や住宅ローンの種類について、その特徴を1つずつ見ていきました。すでに述べてきた通り、金利の違いによって最終的な返済額は変わってきます。「全期間固定金利型」、「変動金利型」、「固定金利期間選択型」のどれが適しているか、メリット・デメリットを照らし合わせながら判断して、住宅ローンを選びましょう。もし住宅ローンの金利や、住宅ローンの種類について疑問や不安がありましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。専門のスタッフが丁寧にご対応いたします。

関連記事